箱根温泉おかみの会 理事 桐谷綾子
私の愛でる月をご紹介させていただきます。
忙しい毎日・・ゆっくりと月を眺めてみてはいかがでしょうか。
雪月花 という宿の名前もあるこの頃、月は秋を代表する季のことば、月を楽しむ茶会の趣向などなど。
「十五夜」
大文字山の稜線から昇り始めたばかりの月は、やや赤みを帯びております。
天高く昇るにつれ磨かれたかのように冴え冴えと輝く、月の兎が見えるほどに小さな暦の下欄に九月十日は満月、十五夜、と印刷されてあります。
「待宵」
名月を明日に控えた宵の意、旧暦八月十四の夜のこと。
「名月」
中秋の名月のこと。この月が最も澄んで美しいとされる。
「十六夜の月」
満月よりも月の出が少し遅れるのでためらうの意、「いざよう」からついた名。
「立待月」
十七日の月のこと。庭に出て月の出を立って待つ意。
「居待月」
十八日の月のこと。立待月より月の出がさらに遅いので座って待つ月の意。
「寝待月」
十九日の月のこと。月の出がますます遅くなり、寝ながら待つ月の意。
「更待月」
旧暦八月二十日の夜の月。夜の更けるころまで待って見る月。月はもう半ばかけて光もほのかになり、さみしさが募る。
月は一年中天空にあるものですが、日ごとに姿を変える月に名前を付けて愛でられております。万葉の時代からの習慣、まだ明かりの少なかった昔、長き夜を楽しみ、働き、学ぶ、一夜一夜と愛しみながら過ごしてきた日本人の細やかな暮らし方に私は年毎に魅かれております。
いざよいや千年の湯をあふれしめ
桐谷 綾子
桐谷箱根荘 (http://kiritani-hakoneso.com/)
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-598
電話 0460-82-2246
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