神山の北側に接する冠ヶ岳のふもとで火山活動をつづけている大涌谷噴気地帯の温泉をいう。ここには宿泊施設はない。標高一〇〇〇メートル。小田原より大涌谷経由湖尻行きバス五〇分大涌谷下車。早雲山あるいは桃源台から箱根ロープウェーの利用も良い。
かつてここは大地獄と呼ばれていたが、明治六年の天皇行幸を期して大涌谷に改められた。火山活動をもたらしている溶岩尖塔の冠ヶ岳は約三〇〇〇年前に出現した。冠ヶ岳直下の噴煙地をめぐる大涌谷自然探勝路が整備されている。噴煙地での名物は黒たまご。一個食べると七年寿命が延びるという。
大涌谷の温泉利用は約二五〇年前の享保年間にさかのぼるという。利用量が増えだすのは昭和五年、温泉供給会社が設立された以後である。現在の日利用量は約五〇〇〇立方メートル。大部分は火山性水蒸気を用いた造成温泉である。元湯場、俵石、温泉荘などの仙石原方面や強羅方面に給湯されている。泉質、含硫黄―カルシウムー硫酸塩泉(硫化水素型)など。
箱根町立大涌谷自然科学館は火山の仕組の展示に力がそそがれている。神山の登山口。