エアリフト・ポンプは揚水ポンプとしてあまり効率の良いポンプではない。ポンプの羽根車とそれを回すモーターをともに孔井内に沈め、孔底から地表に向けて押し上げる仕掛けの水中モーターポンプは揚水効率が良い。
昭和四十八年に発生した石油危機を契機に、電力効率の良いポンプが注目されはじめた。水中モーターポンプの弱点は、水温が八〇度C以上になると電気の絶縁物が急に高価になること、神奈川県の温泉孔井の口径は一〇センチであり、構造が複雑なポンプを小型にするのが困難であること、故障した時の修理が簡単でないことなど、温泉沈殿物の付きやすい源泉ではその除去作業が複雑になることなどである。しかし、今後、電気料金はしだいに高くなるので、水中モーターポンプの改良が進み、その利用は増大すると思われる。昭和五十五年に改定された温泉保護対策要網では水中モーターポンプ利用の道を開き、これらが普及しても温泉資源の枯渇を生じないような配慮がなされている。箱根での利用はまだ宮城野地区で二か所、姥子~湖尻地区で三か所だけである。
【水中ポンプの時代】
カテゴリー: 5.温泉開発技術の返遷 パーマリンク